世界一苦い食べ物「デナトニウム」とは?センブリ茶はどのくらい苦い?

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世界一苦い食べ物「デナトニウム」とは?センブリ茶はどのくらい苦い?

世界一苦い食べ物「デナトニウム」をご存知ですか?デナトニウムは「世界で最も苦い物質」として知られる化合物で、正式名称をデナトニウムベンゾエートといいます。人間の味覚が感じ取れる中で最も強い苦味とされ、わずか10億分の1の濃度でも苦味を感じるほどだそう。もともとは医薬品の苦味づけとして利用されていましたが、現在では安全対策用の添加物として幅広く使われています。

そんな世界一苦い食べ物「デナトニウム」について詳しく解説します。

目次

世界一苦い食べ物「デナトニウム」は物質名

実は「デナトニウム」とは、食品そのものの名前ではありません。世界一苦い物質として知られる化学化合物の名称です。1958年にイギリスで偶然発見され、そのあまりの苦さから、苦いという英語Bitterにちなみ「Bitrex(ビトレックス)」という商品名で登録されています。デナトニウムは人間が感じることのできる苦味の中で最も強いとされていますが、人体に害はありません。味覚実験や誤飲防止のための安全添加物として、現在は世界中で利用されているそうですよ。

参考:チバニアン兼業農学校

発見のきっかけ

デナトニウムは、1958年に製薬会社で鎮痛剤を開発していた研究中に偶然生まれたのだそうです。研究者が新しい化合物を合成した際、その味が驚くほど苦かったことから注目を集めました。その後、毒性が低く安全であることが確認されると、苦味づけ剤として利用されるように。現在では「Bitrex」という商標名で、世界90ヶ国以上に輸出されています。

参考:長瀬産業株式会社

ギネスに登録されるほどの苦み

デナトニウムは世界で最も苦い物質として、ギネス世界記録にも認定されています。その苦味は、唐辛子やコーヒーの比ではないそうです。ほんの数滴で、人が口にできないレベルの苦みを感じるとか。味覚研究では、苦味感度テストに使われることもありますよ。人間の味覚がどこまで苦味を感じ取れるかを測る指標として、科学的にも貴重な存在なのだそうです。

参考:INSIDE

デナトニウムが使われている食品は?

実は、デナトニウムは食品には使われていません。あまりにも苦いため、食べ物や飲み物に添加すると摂取が不可能になるからだそうです。代わりに、誤飲や誤食を防ぐために家庭用品・医薬品・化粧品などに添加されています。子どもや年配者がうっかり口に入れてしまってもすぐ吐き出せるよう、苦みを加えるはたらきをしているのです。ペットがかじるのを防止するスプレーにも使われており、人間にも動物にも安全な物質であることが分かります。では、デナトニウムが使われている製品を見てみましょう。

消毒液

消毒液にはアルコールやエタノールが含まれているため、誤って飲むと中毒を起こす危険があります。特に小さな子どもがいる家庭や高齢者施設では、誤飲事故のリスクが高いですよね。そのため、デナトニウムを微量に添加して苦味をつけています。これにより、口に入れた瞬間に強烈な苦味が走り、すぐに吐き出すように反射的に反応します。

殺虫剤・防虫スプレー

殺虫剤や防虫スプレーにも、誤って吸い込んだり口にしたりすると危険な成分が含まれています。そのため、多くのメーカーでは安全対策としてデナトニウムを添加しているそうですよ。特にペットや子どもがいる家庭向けの製品では、動物が噛んだり舐めたりしないために機能します。殺虫剤を扱う屋外作業用手袋や農業用資材にも応用されているそうです。

洗剤

台所用や浴室用の洗剤、衣類用柔軟剤などにもデナトニウムが添加されている製品があります。見た目がカラフルで香りも良い液体洗剤は、特に幼児がジュースと誤認しやすく、誤飲事故の原因となることがあるからです。デナトニウムを入れておくことで、口にした瞬間に強烈な苦味を感じ、飲み込む前に吐き出すように設計されているのですね。味覚的な安全装置としての役割を果たしています。環境への影響も少なく、世界中の家庭用洗剤メーカーで採用が進んでいるそうです。

防腐剤

デナトニウムは、防腐剤や接着剤、塗料などにも利用されています。これらの製品は一般家庭でも使われることが多いため、誤飲事故やいたずら防止の観点から、あえて苦みをつけておくことが安全対策となるそうです。たとえば、木材用の防腐剤やニスにはアルコール成分が含まれ、誤って舐めると有害ですが、デナトニウムが添加されていることで即座に吐き出すことができるでしょう。また、公共施設や学校などの管理用資材でも採用され、安全性の向上に役立っているんです。

デナトニウムの苦さをわかりやすく解説!

デナトニウムの苦味は、人が感じ取れる限界を超えるほど強烈です。わずか1リットルの水に数マイクログラム混ざるだけで、すぐに「飲めない」と判断できるほどの刺激を与えるそうです。舌が本能的に危険を察知するレベルの、鋭い苦味なのですね。そのため、デナトニウムは世界中の科学実験で、苦味の基準物質として扱われています。まさに、人間が耐えられない苦味の象徴といえる物質なんですね。

センブリ茶はどのくらい苦い?

世界一苦い食べ物といわれているデナトニウムですが、ここで世界一苦いお茶として有名なセンブリ茶と比較してみましょう。世界一苦いお茶であるセンブリ茶も、デナトニウムの苦みにはかなわないといわれています。デナトニウムは、ほんの一滴を水に落としただけでも「口にできないほど苦い」と言われるレベルなんです。一方でセンブリ茶の苦味成分は薬草由来の苦味で、苦いことに変わりはないのですが、デナトニウムの数千〜数万分の1程度だとされていますよ。

ほかにもある!苦い食べ物や飲み物など

デナトニウムの苦みには敵いませんが、ほかにも「苦くて食べられない人がいる」「苦みで舌がしびれる」と感じるほどの食べ物や飲み物が存在しています。もし興味があり、味わう機会があれば、試してみてはいかがでしょうか。

  • ゴーヤ(ニガウリ)
  • 苦瓜茶・胆汁エキス茶
  • キニーネ ※トニックウォーターにも微量使用

デナトニウムには人工的に作られた世界一の苦みであり、上記のものは自然界の苦みです。

まとめ

デナトニウムは、世界一苦い物質としてギネスにも認定されている苦み成分です。デナトニウムは飲食用ではなく、安全性確保のための添加物として活用されていることが分かりましたね。私たちの生活にもある「口に入れると危険なもの」には、このように味覚の警告システムを機能させるために苦みを加えていることも、案外知られていないことだったかもしれません。苦みの重要性を知ると、日常の安全対策の仕組みをより身近に感じられますね!

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