近年トレンドとなっている野球の試合の時短。メジャーリーグでは時短策の一つとして、「ピッチクロック」という制度が導入されました。
今回はピッチクロックについて紹介しますよ。
ピッチクロックとは
ピッチクロックとは、野球の試合において投手が打者に投球するまでに使える時間を制限する仕組みのことです。細かなルールは導入されている界隈ごとに異なってきますが、2023年シーズンより導入されたMLBでのルールは「投手がボールを受け取ってから、走者がいない場合は15秒、走者がいる場合は20秒以内に投球動作に入らなければならない」というもの。これに違反した場合は自動的にボールカウントが1つ追加されますよ。
打者にも影響が
また、投手が球を投げる制限時間の8秒前までに打者が打席に入り、打つ準備を完了していなければ、今度は自動的にストライクカウントが1つ追加されます。反対に言えば、投手が球を受け取り制限時間のカウントが始まった後も打者が打席に入って準備するまでは投球することが出来ず、実質的な投球可能時間はより短いと言えるでしょう。制度に選手が適応できていなかったシーズン序盤は「投手が投げていないのに打者が三振になる」など、シュールな場面も度々見られましたよ。
牽制球の回数などに制限も
MLBのピッチクロック制度では、走者がいる時の投手の牽制球などにも回数制限が課せられています。投手が牽制した場合、投手板を外した場合は、投球制限時間はリセットされますが、それらを行なえるのは1打席につき合計2回まで。また、打者が打席中にタイムを取れるのも1打席に1回までとされています。
なぜMLBでピッチクロックが導入されたのか
ピッチクロック導入の目的は、ずばり試合時間の短縮にあります。野球は他の多くのチーム制のメジャースポーツと違い、時間制のスポーツではありません。しかし野球 試合時間は2014年にMLBの平均試合時間が3時間を超えるなど、スポーツとしてかなり長め。ファン離れを防ぐために、試合時間の短縮を目指して様々なルール改正が検討、導入されてきました。ピッチクロックも時短の一環ということですね。
NPBでもピッチクロックは導入される?
過去には、2017年にMLBで申告敬遠の制度が導入され、その翌年にNPBでも同制度が導入されるということがありました。NPBはMLBの後追いを行なうことが多々あり、ピッチクロックの制度も導入されるのではと囁かれていますよ。一方でピッチクロックはこれまでの野球から大きくルールを変える制度でもあります。一応NPBでも、走者がいない時に限り15秒以内に投球しなければならない「15秒ルール」というものが2009年より適用されていますが、ピンチの時にゆっくり間を取って抑えることができないピッチクロックは、これまでの制度以上に大きな影響を及ぼすと思われます。
「お金」の面から導入に反対する声も
ピッチクロックの導入には意外とお金がかかるそう。時間計測要因を各2名ずつ試合会場に配置する必要があり、更にサイン交換を迅速化するための電子機器「ピッチコム」も導入しなければならず、経費が嵩んでいくのです。また、試合時間が短くなると当然球場内の売店売上、ビールの売上なども減少していきます。毎試合満員御礼となるような球場も多いNPBでは、そもそも過度な試合時間の短縮自体歓迎されないという側面もあるようです。
国際大会にも導入されるため、対応は必須か
しかし娯楽が多様化する現代、日本でも長い目で見た野球人気のためにはやはり試合時間の短縮は必要だという声も。また、国際試合ではMLB準拠のルールが使用される傾向にあり、ピッチクロックについても2023年のWBCでは導入されなかったものの、これからの大会ではピッチクロックが採用される可能性があります。対応しないという訳にもいかないのでは、と見られていますよ。
ピッチクロック早期導入加速! 日本開催提案の25年MLB開幕戦までに対応必須(スポニチアネックス) – Yahoo!ニュース
最後に
今回は野球の制度、ピッチクロックについて紹介しました。
MLBでは一試合約30分の時間短縮効果が見られたというピッチクロック。日本で導入される日も近いかもしれません。