この記事では、世界一辛い唐辛子で起きた死亡事故をまとめてみました。世界一辛い唐辛子は常に世界中で論争が行われているテーマの1つで、これまで複数の唐辛子が世界一だと認められてきました。しかし、中にはその唐辛子で早食い競争が行われたり、血大量に食べる様子がYouTubeにアップされたりと、健康を害するおそれのある行動がみられるようになりました。世界一辛い唐辛子で、死亡事故が起きているのは事実なのでしょうか？
世界一辛い唐辛子とは何か
まず、現時点でどの品種が「世界一辛い唐辛子」とされているのか見てみましょう。2013年からギネス記録を保持していたのが、アメリカ原産「キャロライナ・リーパー」です。かつて世界記録に認定されていたゴースト・ペッパーとレッド・ハバネロの交配種で、辛さの単位「スコヴィル値」は150万を超えています。コチュジャンが1,000、ハラペーニョが2,500～8,000、鷹の爪が30,000～50,000程度のスコヴィル値なので、キャロライナ・リーパーがどれほど辛いのか分かりますね。
世界一辛い唐辛子の死亡事故
世界一辛い唐辛子・キャロライナ・リーパーで起こった死亡事故について解説します。キャロライナ・リーパーには危険性があり、過去に1人の尊い命が奪われるという事故が起こっています。興味本位で口にしてみた「世界一辛い唐辛子」ですが、その一口が致命的な行動となってしまいました。死亡事故の経緯や死因について解説します。
世界一辛い唐辛子使用のスナック菓子で少年が死亡
2023年、アメリカ・マサチューセッツ州に住む少年が、激辛スナック菓子を食べて死亡するという事故が起こりました。
このスナック菓子には世界一辛い唐辛子「キャロライナ・リーパー」のほか、かつて世界一だったナーガ・ヴァイパーが使われていたことが分かっています。しかし、この少年は大食いなどをしていたわけではなく、たった1つ口に入れただけだったとか。メーカー側は成人向けの食品であると注意喚起しており、この事故によって製品の回収や撤去を進めているそうです。
死因は何だった？
世界一辛い唐辛子が使われたスナック菓子を食べた少年の死因は、高濃度のカプサイシンを摂取したことにより可逆性脳血管収縮症候群を引き起こした可能性があるそうです。そして心肺停止を起こし、死に至ったとみられています。カプサイシンは唐辛子などに含まれる天然の化合物で、大量に摂取することで心臓発作を起こす可能性があるそうです。
心疾患のある少年だった
死亡した少年はもともと心臓に疾患を持っていたことが分かりました。心肥大症および左冠動脈前下行枝周辺にみられる心筋架橋があり、筋肉が血管を圧迫し狭心症を引き起こす可能性もあったそう。心臓疾患があったことと、激辛スナック菓子との因果関係は認められておらず、自然死や事故死などの具体的な死亡の種類は決められないとされました。しかし、Forbesでは彼の父親が「息子に持病はない」と証言しているそうで、改名されていない部分があるようです。
なぜ激辛スナック菓子を食べたのか
この少年は、当該の激辛スナック菓子を学校で友人から受け取り、食べてみたのだそうです。同じクラスの学生から渡されたそうで、このときアメリカでは「ワン・チップ・チャレンジ」が流行していました。「ワン・チップ・チャレンジ」とは、今回問題になった激辛スナック菓子を食べて、できるだけ長い時間ほかの飲食物を口にせず我慢するというチャレンジ企画の一種。しかし、このチャレンジは成人向けであり、子どもや基礎疾患のある人は行わないよう、目立つラベルで強調されていたそうです。
参考：中央日報
成人向けだが子どもでも買える状態だった
少年の死を引き起こした激辛スナック菓子は成人向けであり、子ども、辛い食べ物に敏感な人、食物アレルギーのある人、妊娠中の女性、基礎疾患のある人は食べないよう案内されていました。しかし、店頭には普通に陳列されており、誰でも購入できる状態だったそうです。ラベルで警告するだけでは守らない若者が増えており、結果1人の少年を亡くしてしまいました。メーカーはこの事故を受け、小売店と協力して製品を回収しました。
世界一辛い唐辛子の危険性
世界一辛い唐辛子キャロライナ・リーパーには、上記のケースのようにたった一口だけでも命の危険を及ぼす危険性があります。これまでに、死亡には至らなかったものの救急外来に搬送されるレベルの症状を引き起こした例があります。健康な人にも大きな被害を及ぼす可能性がありますので、危険性について知っておきましょう。
脳や心臓にリスクがある
世界一辛い唐辛子キャロライナ・リーパーは、ラットを用いた実験においてもその危険性が確認されています。特に脳と心臓への負担が大きく、脳の動脈が狭くなったり、脳梗塞を起こしたりするリスクがあります。心臓に対しては発作や不整脈を起こす可能性があるそうです。世界一辛い唐辛子が使われている食品には、対象年齢や摂取時の注意事項が書かれていますので、必ず読んで慎重に摂取するようにしましょう。
もし食べてしまったら？
もし、世界一辛い唐辛子を含む高濃度、そして大量のカプサイシンを摂取してしまった場合には、乳製品を摂ることが効果的と覚えておきましょう。産経新聞によると、辛いものを大量に摂取した際に水を飲むのは逆効果で、牛乳やヨーグルトが辛さを緩和してくれるそうです。カプサイシンは水に溶けにくいので、水を飲んでもその成分を洗い流すことができません。乳製品を摂取することで、舌についたカプサイシンを吸着し、症状緩和が期待できるとのことです。
世界一辛い唐辛子のおすすめ調理法
世界一辛い唐辛子は、調理の段階から気をつけて準備する必要があります。ゴーグルやゴム手袋をして、なるべく皮膚に触れないようにしましょう。部屋の換気も必須です。調理するには、柚子胡椒としてアレンジすることでやや爽やかな風味に変化するそう。アレンジせず料理に振りかける際には、ひとつまみほどにすることで、ほどよい辛さが良い仕事をしてくれるそうですよ。
まとめ
世界一辛い唐辛子キャロライナ・リーパーについて解説しました。キャロライナ・リーパーでは重大な死亡事故が起こっており、アメリカでは製品が回収されるという事態に見舞われていました。尊い1人の少年の命が奪われてしまったことは、他人ごとと思えずショッキングな出来事ですね。辛いものへの耐性は人それぞれですが、世界一辛い唐辛子となると、誰しも身体にリスクを負う可能性があります。慎重に摂取するようにしてくださいね。
